2019~2021年度 『温泉バカンス(Onsen Vacation)』

温泉は、訪日客から高い認知を得るようになっていますが、必ずしも、それは温泉地や温泉旅館に恩恵を及ぼしてはいません。

訪日主要国(韓国、台湾、香港、中国)のうち、台湾以外では、来訪回数が増えると宿泊先として「旅館」を選ぶ人の比率は減少する傾向にあります。また、近年、訪日客が急増した某温泉地でも日帰り客が主体で、必ずしも宿泊客数は伸びていなかったり、宿泊客数が増えている地域でも、滞在日数は短く人泊数の伸びは限定的であったりします。

これは温泉という単体の資源が注目されているものの、その関心は温泉旅館や温泉地という単位に広がってはいないことを示しています。

もともと、国内においても、温泉は長期滞在に対応した本命コンテンツと期待されていましたが、実際には短期滞在が主体でした。近年は、日帰り型の温浴施設も各地に整備され、そうした傾向に拍車をかけてきました。

しかしながら、我々は、温泉での入浴という経験を核に、宿泊、飲食、さらには、地域の歴史文化や自然環境を楽しむアクティビティが渾然一体となることで、日本でしかできない滞在経験を打ち出すことができるのではないかと考えています。

訪日客が増大し、1〜2周間の長期滞在(バカンス需要)を持った欧米の人々も日本に関心を持つようになった現在の市場環境は、それにチャレンジする後期と考えます。

本研究会では、温泉地での長期滞在スタイルを「温泉バカンス」と命名し、国内外の長期滞在需要を持った人々の呼び込みに向けた取り組み方策について研究を進めてまいります。