2025年度第2回研究会を、2025年11月18日(火)・19日(水)の2日間、北海道ニセコで開催しました。概要は以下のとおりです。

1日目/研究会・視察
開会挨拶
温泉まちづくり研究会 代表(道後温泉誇れるまちづくり推進協議会会長) 宮﨑光彦氏
講演
ニセコ町観光の未来と戦略 株式会社ニセコリゾート観光協会 事務局長 中野文彦氏
SDGs未来都市ニセコ町の実践 「自ら考え行動する」共感資本社会への挑戦
前ニセコ町長・前国民保養温泉地協議会会長 片山健也氏
視察
株式会社ニセコまち
ニセコ町役場
2日目/視察
ヒラフエリア
雪ニセコ
パークハイアットニセコHANAZONO

1日目
はじめに、宮﨑代表より「以前から関心を寄せていたニセコ町の片山前町長から、これまで苦労されたことや今後どのように展開されていくのか、貴重なお話を聞かせていただくとともに、ニセコエリアにおける取り組みを視察して、濃密な研究会としたい」と挨拶がありました。
続いて、ニセコにおける観光まちづくりの取り組みについて、お二方よりご講演をいただきました。
株式会社ニセコリゾート観光協会の中野氏は、夏季シーズンの活性化が喫緊の課題で、夏の魅力づくりに取り組んでいると説明しました。また、「ニセコ町のまちづくりには、ベースに環境と景観を大事にするという考え方がある。ニセコ町は農業と観光のまち。環境を守るから農業の価値が上がり、景観がニセコ町の観光の武器になっている」と述べ、「ニセコ町には地元の方、移住の方、職歴や国籍もさまざまな方がいて、それぞれにストーリーがある。そういう方々が我々と一緒に町を盛り上げてくれる」と、ニセコ町らしさにこだわった観光づくりには、ニセコ町に暮らす多くの方々の協力があることに繰り返し触れました。
片山前町長のお話は、非常に多岐にわたる内容でした。
・すべての会議は公開原則
・日本初となる自治基本条例「ニセコ町まちづくり基本条例」の制定
・日本初の株式会社ニセコリゾート観光協会の設立
・ニセコ環境基本計画の策定
・住民の意見を反映したニセコ町独自の景観条例の制定
など、町長として取り組まれた数多くの改革について聞かせてくださり、「住民の皆さんお一人お一人が考え、価値観を持って行動する。その自由を保障して、頑張る人の背中を押す社会をどう作るかが、町長に就任してから私の大きな挑戦だった」と締めくくりました。
ニセコ町は、低炭素社会の実現に向けて先駆的な取組を行う「環境モデル都市」として日本政府に選定されています。そのニセコ町における環境対策事例を学ぶため、講演終了後、株式会社ニセコまちとニセコ町役場を訪問しました。
株式会社ニセコまちは、2018年にニセコ町で始まった「環境配慮型まちづくり・ニセコミライ」プロジェクトを主導する会社で、官民連携で事業を進めています。今回は、2024年3月に竣工した第1棟目となる木造4階建の分譲マンションのモデルルームを見学しました。気密性と断熱性を日本トップクラスまで上げ、エアコン1基で年間通してすべて同じ温度帯、同じ湿度帯で保つように、HEMS(ヘムス)と呼ばれるシステムを導入しています。
2021年5月から使用されているニセコ町役場の庁舎は、地上3階地下1階の鉄筋コンクリート造。断熱材を厚くし、窓の性能を上げて、躯体の気密性と断熱性の高さは全国の庁舎でもトップレベルです。内装には、ニセコ町の木であるシラカバ材がふんだんに使われています。
町民に開かれた庁舎で、1階は来庁者の利便性が考慮され、ぐるっと周れる造りになっています。1階の談話室や3階の眺望スペースは、町民はもちろん一般の方も利用でき、天気の良い日に眺望スペースから眺める羊蹄山は絶景とのこと。円形議場のある3階の町民ホールは、議会開催時以外は一般に開放され、打ち合わせなど多目的に利用できます。照明の明るさ、工夫ある打ち合わせスペース、リフレッシュコーナーなど、働きやすさの配慮も行き届いていました。
株式会社ニセコまち

ニセコ町役場
2日目
国際的な高級スキーリゾートへと発展したニセコエリアにおける人材不足対応と環境対策の現状を学ぶ目的で、視察を行いました。
ヒラフのペンションビレッジを見たあと、雪ニセコを訪問し、全190室の中から2ベッドルームスイートと3ベッドルームスイートの2部屋を見学しました。ダイニング、ジム、温泉、キッズルーム、メインレストランも見せていただき、雪ニセコの見学では驚嘆の声が次々に上がりました。
パークハイアットニセコHANAZONOでは、羊蹄山が見えるマウンテンビューの65㎡スタンダードルームと温泉付のスイートルームを見学しました。こちらには広さ200㎡もある客室もありますが、ホテル棟は全客室で定員4名までとのこと。ゲレンデと直接つながるスキーバレーエリア、宿泊者が利用できるプール、全面ガラス張りで羊蹄山を見ながら利用できるフィットネスセンター、レストラン、ワインセラー、カラオケルーム、シガーラウンジも見せていただきました。
多言語・多文化共生下でのサービス品質の維持や、高価格帯リゾートにおける持続可能性への取り組みは、国内の温泉地が直面する課題の解決にむけて、貴重な手がかりの一つとなりました。
ヒラフエリア
雪ニセコ
パークハイアットニセコHANAZONO










