2017年度第2回温泉まちづくり研究会」を開催しました(11月28日)

 7つの温泉地と当財団が共同で研究活動を進めている「温泉まちづくり研究会」(2008年発足)。2017年度第2回研究会を11月28日(火)、当財団の会議室で開催しました。概要は以下の通りです。

【開催挨拶】  
梅川智也(温泉まちづくり研究会 事務局長) 
大西雅之氏(温泉まちづくり研究会 代表) 
金井啓修氏(温泉まちづくり研究会 副代表) 
桑野和泉氏(温泉まちづくり研究会 副代表)

【第1部】講演「アート(芸術文化)を活用した観光地の活性化」
○ゲストスピーカー1:関口 正洋 氏((株)アートフロントギャラリー)
 中山間地域や温泉地でのアート(芸術文化)の活かし方について 〜プロデュースする立場から
○ゲストスピーカー2:柳 一成 氏(松之山温泉「ひなの宿ちとせ」代表取締役社長)   
温泉地でのアート(芸術文化)の活かし方について 〜まちづくりを展開する立場から
質疑応答
【第2部】1)会員温泉地の取り組み報告(発言順) 
阿寒湖温泉:山下晋一氏(NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構 専務理事)  
黒川温泉 :北里有紀氏(黒川温泉観光旅館協同組合 代表理事) 
草津温泉 :中澤 敬氏(草津温泉観光協会 協会長) 
道後温泉 :新山富左衛門氏(道後温泉旅館協同組合 理事長) 
鳥羽温泉郷:奥野和宏氏(鳥羽市温泉振興会 事務局長) 
由布院温泉:桑野和泉氏((一社)由布院温泉観光協会 協会長) 
有馬温泉 :金井啓修氏((一社)有馬温泉観光協会 会長)

2)ディスカッション「温泉地でのアート(芸術文化)の展開を考える」   
各会員温泉地での取組み紹介を交えてのディスカッション
議事進行:守屋邦彦(温泉まちづくり研究会 事務局次長)

 今回の研究会には、7つの会員温泉地の皆さんが揃って出席されました。また、花巻温泉郷観光推進協議会がオブザーバーとして初めて参加されました。 

 今回のテーマは「温泉地でのアート(芸術文化)の展開を考える」。近年、日本各地でアートを活用したイベントや観光地づくりが活発化しており、会員温泉地でも、道後温泉で2014年からスタートした「道後オンセナート」をはじめ、さまざまな動きが見られます。 
そこで今回は各会員温泉地での更なる展開につなげるヒントを得るため、芸術祭を企画運営する立場と、芸術祭の舞台となる地域側の立場の両面からお話を伺い、ディスカッションを行いました。

 最初に、(株)アートフロントギャラリーの関口正洋氏からお話を伺いました。同社の代表を務める北川フラム氏は、3年に1度開催される「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクターとして知られ、今年の9〜10月に初めて開催された「奥能登国際芸術祭2017」でも総合ディレクターを務めています。
関口氏は大地の芸術祭(第1回から)をはじめ、各地の芸術祭に企画運営スタッフとして携わっています。
関口氏はこれらの芸術祭に共通する考え方として、いくつかのポイントを挙げました。
その一つは、「地域の基礎単位を重視し、その基礎単位に基づいてアート作品を設置したり、ワークショップなどを展開する」ことです。
奥能登国際芸術祭が開催された石川県珠洲市では、公民館がある10地区が基礎単位となりました。 
「この基礎単位は集落、旧町村、学校地区など地域によって異なるが、住民は大きな行政のためではなく、旧町村や自分の集落などのためなら動く。
芸術祭で住民を当事者にするには、この考え方が不可欠」と同氏は強調しました。

また、アーティストやアートを見に来る来訪者などの「居場所の定まらない第三者」の存在も重要と語りました。 
中でも注目されるのが、芸術祭の開催を支えるボランティアスタッフ、通称「サポーター」と呼ばれる存在です。いずれの芸術祭も日本各地あるいは海外から参加しており、さまざまな芸術祭に関わる「プロサポーター」と呼ばれる人もかなり存在するとのことです。 
「地域は人間関係が硬直化しがちだが、アートやこうした第三者が地域に関わることで関係が流動化するきっかけになる」と関口氏は語りました。
 
 続いて登壇したのが「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ」の開催地、新潟県十日町市の松之山温泉で旅館「ひなの宿ちとせ」を営む柳 一成代表取締役社長です。 
来年に第7回目の開催を迎える大地の芸術祭が初めて開催されたのは2000年で、同芸術祭は初回から一貫して「人間は自然に内包される」をテーマに、アートを媒介に地域の価値を掘り起こし、魅力を高めることを目的にしています。
 「北川フラム氏や関口氏から、最初に芸術祭のテーマやコンセプトを説明された時は言っていることがよくわからず、それこそ宇宙人がやってきたように感じた」。柳氏は、率直に感想を述べた上で、「その時に言われたのが『アートは後からわかる』という言葉。とにかくやってみようということで、取り組んでいくうちに本当にその言葉の通りだと感じた」と語りました。

最初は否定的だった地域の高齢者も、チケットのもぎりなどを行い、来訪者と関わるうちに服装もおしゃれになり、展示されている海外アーティストの作品について説明するように。
「芸術祭の開催によって、地域の住民にいろいろな変化が生まれて来た。それを見るのが非常に嬉しい」と柳氏は語りました。 
こうした流れの中で、松之山温泉でも地域旅行会社「まんま」の設立や地域ガイドの育成がスタートしたり、温泉のブランドロゴを作るなど、芸術祭の開催に触発されて地域が活性化し、さまざまな動きが生まれていることが語られました。

 各温泉地の皆さんにとっても関心が高いテーマとあって、質疑応答やディスカッションでは、芸術祭の収支はどうなっているのか、アート作品やアーティストの選定方法はどうすべきかなどについて、活発に質問や意見交換が行われました。

(2017/12/6 守屋邦彦)

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